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2009年9月28日 (月)

性分化疾患新生児:男女の判定にガイドライン 症例調査へ

性分化疾患新生児:男女の判定にガイドライン 症例調査へ

 染色体やホルモンの異常により、外見で男女の区別が難しい新生児が約2000人に1人の割合で生まれているとされる。いずれかの性に近づける医療にあたる際、医師が誤った判断をしているケースが問題化している。染色体や性腺からみるとほぼ女性である子に対し、男性ホルモンを投与していた例もある。日本小児内分泌学会(藤枝憲二理事長)は医療機関が性別を判定するためのガイドライン策定に向け、10月から初の症例調査に乗り出す。

 こうした疾患は医学的に「性分化疾患」「性分化異常症」などと呼ばれる。以前は原因がほとんど分からなかったが、90年代以降に性が男女に分化する仕組みが急速に解明され、診断の精度が上がってきた。

 しかし、同学会性分化委員会によると最近でも、外性器だけをみれば男性に近いが、染色体が女性型で卵巣もある子に過剰な男性ホルモンを投与し続けたり、外性器で男女の区別がつかない子が染色体検査もされぬまま性別を決められた例などが報告されている。医師が判断を誤ったことで、出産ができない体にされた人や、精神的な苦痛を抱えている人もいる。

 さらに、男性型と女性型の染色体が混在していたり、卵巣と精巣の両方があるなど、専門医でも判定の分かれる症例があり、家族や成長後の患者本人が医療に不信感を抱くケースも明らかになってきた。

 このため、同学会は性分化疾患が疑われる子が生まれた場合のガイドラインが必要と判断。より正確な診断をする手順をまとめるほか、男女どちらの性が望ましいかを慎重に議論するためのチーム医療体制のあり方や、親に説明する際の留意点などについて、具体策を示すことにした。

 また、病気の総称についても、一般的に使われている「半陰陽」「両性具有」などの呼び方には蔑視(べっし)的な響きがあるとして、10月に宇都宮市で開かれる総会で「性分化疾患」に統一する。

 性分化委員会委員長の大山建司・山梨大教授は「医学界が真剣に取り組んでこなかった分野で、当事者や親は孤独でつらい思いをしてきた。安易な性別決定によって苦しむ人を一人でも減らしたい」と話している。【丹野恒一】

 ◇ことば・性分化疾患

 通常は男女いずれかで統一されている染色体(XX、XY)、性腺(卵巣、精巣)、外性器や内性器(子宮、膣=ちつ)などの性が一致せずに生まれてくる疾患の総称。心と体の性が一致しない性同一性障害とは異なる。新生児の段階で疾患が見つかった場合は、ほとんどがその時点で男女どちらが望ましいかを選び、手術やホルモン治療をする。8月の世界陸上選手権女子八百メートルで、優勝した南アフリカの女子選手が性別を疑われた例など、スポーツ界で論議となることも多い。

 ◇性分化疾患 医療界もタブー視

 心と体の性が食い違う性同一性障害については、04年に特例法が施行され、権利擁護がようやく進み始めた。一方、体の性も一致しない性分化疾患の人たちは、これまでほとんど光が当てられてこなかった。

 性分化疾患の治療に長年携わってきた位田忍・大阪府立母子保健総合医療センター消化器内分泌科主任部長は「科学がメスを入れないタブーの領域で、医師の間でも問題意識が共有されてこなかった」と認める。不適切な性別判定や医療行為が後を絶たない一因も、そこにある。

 当事者や家族は周囲の偏見を恐れ、苦しみを抱え込んできた。出産直後に子どもの性別がはっきりしないと知らされた親は、いきなり重責を負わされる。男性と女性、どちらで育てるべきか。診断結果と方向性を示すのは医師だが、最終的に決断するのは親だ。

 さらに患者自身の苦痛は計り知れない。自分の意思が芽生えない段階で大事なものが人為的に決められ、それが成長してから自覚する性と違ってしまうこともある。家族や医師から告知されないまま成長し、第二次性徴期や結婚後に自分の疾患を知る人もいる。

 日本小児内分泌学会は成長した患者たちの追跡調査もする方針という。医学的研究にとどまらず、患者や家族の生きづらさを和らげることにつなげてほしい。私たちも、声を上げられずに生きる人たちが数多くいることを、もっと理解しなければならない。【丹野恒一】

毎日新聞 2009年9月28日

日本小児内分泌学会

http://jspe.umin.jp/

「性分化異常症の管理に関する合意見解」

http://jspe.umin.jp/gak_dl/guide11203565.pdf

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